結論
婚姻届・離婚届の届書にあるのは証人欄で、保証人欄ではありません。証人は、届出人がその届出をすることを承知していると見届けて署名する立場であり、借金や養育費といった金銭の債務を肩代わりする立場ではありません。

届書の欄の名前は、証人です
婚姻届の保証人、離婚届の保証人という言葉で調べる方はとても多く、検索されている回数だけを見れば、証人という言い方より目立つほどです。ただ、届書に印刷されている欄の名前は証人です。浜松市の案内でも、婚姻届書には届出人と成年2名の証人による署名が必要、協議離婚の届書には届出人と成人2名の証人による署名が必要、と書かれています。
呼び方が違っていたからといって、手続を間違えたわけではありません。頼む側も頼まれる側も保証人と呼んでいることは珍しくなく、窓口でその言い方が通じないということもまずありません。ただ、役割を考えるときには、どちらの言葉で考えるかで結論が変わってしまいます。
ゆき
友人から婚姻届の保証人になってほしいと言われたのですが、保証人と聞いた時点で身構えてしまって、返事ができていません。
たすけ
身構えるのは自然だと思います。日常で保証人といえば、お金の話であることが多いですから。
ただ、婚姻届や離婚届に印刷されている欄の名前は証人です。保証人という欄は届書にありません。
ゆき
ずっと呼び間違えていたということですか。少し恥ずかしいです。
たすけ
恥ずかしがることではありません。多くの方が同じ呼び方をしています。大事なのは、その欄で何を求められているかのほうです。
なぜ、保証人だと感じてしまうのか
重要な書類に自分の名前と住所を書く、という場面は、日常では借入れや賃貸の契約に結びついています。保証人という言葉には、誰かが払えなくなったら代わりに払う、という意味が染みついています。届書の欄も同じ性質だと感じてしまうのは、無理のないことです。
さらに離婚届の場合は、お金の取り決めが同じ時期に話し合われていることが多く、証人欄と養育費や慰謝料の話が頭の中で結びつきやすくなります。頼まれた側が、後から請求が来るのではないかと不安になるのも、この連想が原因になっていることがほとんどです。
ゆき
離婚届の保証人を頼まれたのですが、養育費が払われなくなったら私のところに来るのではないかと思ってしまって。
たすけ
その心配をされる方は本当に多いです。まず、届書の証人欄は金銭の支払を約束する欄ではありません。
養育費や慰謝料の取り決めは、当事者の間の問題です。証人が肩代わりする仕組みにはなっていません。
ゆき
取り決めの内容を知らないまま署名しても平気なのですか。
たすけ
証人欄はお金の条件を承認する欄ではないので、内容を細かく聞き出す立場でもありません。届書の記載で気になる点があれば、提出先の市区町村にも確認できます。
証人は、金銭の債務を負う立場ではない
証人欄に署名しても、婚姻や離婚の条件を保証したことにはなりません。借金の連帯保証人になるわけでも、養育費の支払を約束するわけでもありません。届書は、身分関係の届出を受け付けるための書類で、金銭債務を発生させる契約書ではないからです。
将来、当事者どうしでお金の争いが起きたとしても、証人であることを理由に支払を求められる仕組みにはなっていません。個別の紛争でどのような主張がされるかまでは断定できませんが、届書の証人欄が保証契約になる、という説明は制度のどこにもありません。
ゆき
契約書に署名するのと同じ感覚でいたのですが、そもそも書類の種類が違うということですか。
たすけ
そのとおりです。賃貸や借入れの保証人は、契約書に署名して債務を引き受ける立場です。
届書は身分関係の届出を受け付けるための書類で、債務を引き受ける仕組みをそもそも持っていません。
ゆき
同じ署名でも、意味が違うのですね。
たすけ
はい。何の書類に署名するのかで、意味はまったく変わります。届書の証人欄は、お金の約束をする欄ではありません。
- 証人欄は、金銭の支払を約束する欄ではない
- 借金・養育費・慰謝料の肩代わりとは関係がない
- 婚姻や離婚の条件そのものを決める立場でもない
では、証人は何を見届けているのか
証人は、届出人がその届出をすることを承知しているという事実に立ち会う立場です。婚姻届であれば、お二人がその届出をすることを知ったうえで、証人が求められた項目を記入します。協議離婚の届書であれば、当事者の間で離婚することについて話がついている状態を前提に署名する、という形になります。
証人が確認するのは届出そのものであって、当事者の生活の事情ではありません。なぜ結婚するのか、なぜ離婚するのかを聞き出す役割は求められていません。証人欄に記入するのは、署名、生年月日、住所、本籍の4項目で、それ以上の情報を書く欄は届書に用意されていません。
ゆき
見届けるといっても、二人の話し合いに立ち会ったわけではないんです。それでも証人になっていいのでしょうか。
たすけ
話し合いの場に同席していなければならない、という決まりがあるわけではありません。
届出をすることを承知している当事者がいて、その届出に証人として署名する、という関係です。
ゆき
事情を聞かないままだと、無責任にならないでしょうか。
たすけ
事情を詮索しないことには、相手を守る側面もあります。そのうえでご自身が納得できないときは、引き受けないという判断も当然あります。
それでも、無関係とは言い切れない場面
一つだけ、はっきりさせておくべき線があります。届出そのものが虚偽である場合です。当事者に届出の意思がないのに届書を出す、他人の名前を無断で書くといった行為には、刑事罰が定められています。証人として引き受けるかどうかを考えるときに、唯一気にしておくべき点がここです。
法務省の案内では、虚偽の届出について、電磁的公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)と虚偽届出罪(戸籍法第134条)が挙げられています。金銭の保証は負わない一方で、虚偽の届出に加担すればそれは別の問題になる、という整理です。
ゆき
お金の心配はいらないと分かって安心しました。逆に、気をつけることは何かありますか。
たすけ
一つだけあります。届出の中身が本当であること、そして署名はご自身の手で書くことです。
虚偽の届出には刑罰の定めがあります。脅かしたいわけではなく、そこだけが本質的な線引きだからです。
ゆき
当事者が本当に届け出るつもりなら、心配しなくていいということですね。
たすけ
その前提のもとで、求められた4項目をご自身で書く。証人に求められているのは、それ以上でも以下でもありません。
呼び方より、頼める相手がいるかどうか
言葉の整理がついても、頼める相手が見つからないという問題は残ります。保証人だと思われているせいで断られてしまう、あるいは相手に負担をかけるようで頼みにくい、という声もよく聞きます。頼む側から先に、金銭の保証ではないと伝えておくと、話がこじれにくくなります。
当事務所は、婚姻届・離婚届・養子縁組届の証人代行を、浜松市中央区上新屋町の事務所での対面のみ、完全予約制で行っています。料金は通常8,800円、急ぎ対応17,600円で、証人1名分でも2名分でも同額です。ご予約はLINEで承っており、届出の種類と希望日時が分かると確認が進みます。
- 届書の欄の名前が証人であることを確認する
- 頼む相手には、金銭の保証ではないと先に伝える
- 見つからないときは第三者に依頼する方法も検討する
来所前のチェック
- 届書の証人欄の記入項目を確認する
- 必要な証人の人数を確認する
- 届書の原本とご本人確認書類を用意する
- 希望日時をLINEで伝える
よくある質問
婚姻届に保証人という欄はありますか?
届書に印刷されている欄の名前は証人です。浜松市の案内でも、婚姻届書には届出人と成年2名の証人による署名が必要とされています。保証人と呼ばれることが多いですが、同じ欄を指しています。
証人になると、借金の保証をすることになりますか?
いいえ。届書の証人欄は金銭債務を引き受ける契約ではありません。借入れや賃貸借の保証人とは、根拠になる書類が別物です。
離婚届の証人は、養育費の支払を保証しますか?
保証しません。養育費や慰謝料の取り決めは当事者の間の問題で、証人が肩代わりする仕組みにはなっていません。
証人になるために、二人の事情を聞く必要がありますか?
事情を聞き出す役割は求められていません。証人欄に記入するのは、署名、生年月日、住所、本籍の4項目です。
証人が責任を問われることはありますか?
虚偽の届出に関わった場合は、電磁的公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)や虚偽届出罪(戸籍法第134条)が問題になります。金銭の保証とは別の話です。


