離婚届のコラム

協議離婚とはどんな離婚か|証人2名が必要な理由と、証人が負うリスク

なぜ他人の署名が2名分も必要なのか。協議離婚という手続の仕組みと、証人が実際に負うもの・負わないものを、分けて確認していきます。

結論

協議離婚は当事者の話し合いで成立し、届出によって効力が生じます。証人2名は、その届出が当事者の意思によるものだと確かめる仕組みの一部です。証人は離婚条件の保証人ではなく、養育費や借金を肩代わりする立場ではありません。

ねこのて行政書士事務所の猫、ゆき
証人が負うもの・負わないものを分けて確認します。

協議離婚とは、どういう離婚か

協議離婚は、当事者の話し合いによる離婚です。裁判所の手続を経ずに、二人が離婚することに合意し、市区町村へ離婚届を出すことで効力が生じます。日本で成立する離婚の多くがこの形で、離婚届に証人欄があるのも、この協議離婚を前提としたものです。まず、ここを押さえておいてください。

調停や裁判による離婚は、裁判所の手続によって離婚そのものが成立し、届出はその内容を戸籍に反映させるためのものになります。証人欄の扱いも協議離婚と同じではないため、その場合は手続を扱った裁判所と提出先の市区町村の案内をご確認ください。同じ用紙を使う場合でも、確認すべきことが変わります。

協議離婚では、話し合いの内容そのものを役所が審査するわけではありません。財産分与や親権の取り決めが妥当かどうかを窓口が判断することはなく、届出が当事者の意思に基づくものかどうかが確認の中心になります。証人欄は、その確認の側に置かれた仕組みです。

ゆき

二人で話して決めた離婚なのに、どうして他人の署名が2人分も要るんでしょうか。証人が何かを決めるわけでもないのに。

たすけ

もっともな疑問です。協議離婚は届出によって効力が生じるので、その届出が本当に当事者の意思によるものか、という確認が要ります。

証人欄は、離婚の内容を審査するためではなく、届出の成り立ちを確かめる側の仕組みです。

ゆき

証人が内容を確認したことになる、というわけではないんですね。

たすけ

ちがいます。証人欄には、離婚の取り決めを確認する欄がそもそもありません。

なぜ証人2名が求められるのか

法務省の離婚届の案内では、手続の根拠として民法第764条(第739条を準用)、戸籍法第76条、第77条(第63条を準用)が挙げられています。第739条は婚姻の届出に関する規定で、そこに成年の証人2人という要件が置かれています。協議離婚は、この規定を準用する形になっています。

婚姻も協議離婚も、届出をすることで身分関係が変わります。当事者だけで完結する届出だと、一方が勝手に出したときに歯止めがありません。第三者2名の署名は、その歯止めの一つとして置かれているもので、証人が離婚の中身を見張るための欄ではない、という理解で足ります。

浜松市の案内でも、協議離婚の届書には届出人と成人2名の証人による署名が必要とされています(押印は任意です)。法務省の案内と市区町村の案内で、求められている内容は一致しています。ただし、記載方法の細部や必要書類は市区町村の案内で確認してください。

  • 協議離婚は届出によって効力が生じる
  • 手続の根拠は民法第764条(第739条を準用)と戸籍法第76条・第77条(第63条を準用)
  • 証人は成人2名。押印は任意
  • 証人は離婚の内容を審査する立場ではない

押印がなくなっても、真正が担保される仕組み

届書の押印義務は令和3年9月1日に廃止されました。デジタル社会形成整備法(令和3年法律第37号)と、戸籍法施行規則の一部を改正する省令(令和3年法務省令第40号)によるものです。法務省の案内では、改正以降も届出人の意向により任意に押印することは可能とされています。

押印がなくなると勝手に出されやすくなるのでは、という心配が出てきますが、法務省は届出の真正を担保する仕組みとして複数を挙げています。あらかじめ届出を受理しないよう申し出ておく不受理申出(戸籍法第27条の2第3項)、窓口での本人確認(同条第1項)、窓口に来なかった人への受理の通知(同条第2項)、そして虚偽の届出がされた場合の戸籍の訂正(戸籍法第113条から第117条)です。

虚偽の届出には罰則もあります。電磁的公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)と、虚偽届出罪(戸籍法第134条)です。証人欄の署名は、この一連の仕組みの中に置かれているもので、押印の有無だけで届出の真正が支えられているわけではありません。

ゆき

はんこが要らなくなったと聞いて、逆に不安になりました。勝手に出されてしまうことはないんでしょうか。

たすけ

その心配は自然です。押印が廃止された代わりに、というより、もともと押印以外の仕組みが用意されています。

窓口での本人確認、窓口に来なかった方への受理の通知、それから、あらかじめ受理しないよう申し出ておく不受理申出です。

ゆき

不受理申出というのは、こちらから出しておくものですか。

たすけ

ご本人が市区町村へ申し出ておく制度です。手続の方法は市区町村の案内で確認してください。虚偽の届出には罰則も定められています。

証人は、離婚条件の保証人ではない

証人と保証人は別のものです。保証人は、他人の債務について自分が支払う責任を負う立場です。証人にそうした責任はありません。届書の証人欄に署名しても、養育費や財産分与、慰謝料、借金を肩代わりする立場にはなりません。同じ「署名する」という行為でも、意味がまったく違います。

取り決めが守られなかった場合に、証人が支払いを求められることもありません。証人欄には離婚の取り決めを確認する欄そのものがなく、署名が意味しているのは、その届出があったことを証するという範囲です。取り決めの内容を証人が知らされていなくても、それで届出に問題が生じるわけではありません。

公正証書や離婚協議書に連帯保証人として署名する場合は、まったく別の話です。それは債務を保証する契約で、離婚届の証人欄とは意味も効果も異なります。離婚届の証人欄なのか、協議書の連帯保証人欄なのかで引き受ける意味が変わりますので、頼まれた書面がどちらなのかは必ず確認してください。

ゆき

証人を頼まれたのですが、あとで養育費を払えと言われることはありませんか。保証人みたいなものだと聞いて怖くなって。

たすけ

心配になるのは分かります。証人と保証人はまったく別のものです。証人欄への署名で、養育費や借金を肩代わりする立場になることはありません。

証人欄には、離婚の取り決めを確認する欄そのものがありません。

ゆき

では、連帯保証人という言葉が出てきたら、それは別の話ということですか。

たすけ

まったく別です。公正証書や離婚協議書に連帯保証人として署名するのは、債務を保証する契約になります。どちらの書面か、必ず確かめてください。

証人を引き受けるリスクとして、実際に何があるか

責任を負わないとはいえ、まったく何も残らないわけではありません。証人欄には自分の署名・生年月日・住所・本籍を書きます。届書は市区町村で保管されるもので、誰でも自由に見られるものではありませんが、記入すること自体は避けられません。ここに抵抗があるなら、断って構いません。

もう一つは、当事者の一方に無断で届書が作られていた場合です。虚偽の届出には罰則が定められており、事情を知りながら関与していれば、証人の立場でも無関係ではいられません。頼まれたときに、双方が離婚に合意しているかを一言確かめておくのは、証人自身のためでもあります。

残りは人間関係です。片方の側についたと受け取られる、あとから双方の言い分を聞かされる、といったことは起こり得ます。縁起が悪いと感じるという理由も含めて、断ることは特別なことではありません。引き受けないという返事に、説明を添える必要もありません。

  • 証人欄に署名・生年月日・住所・本籍を書くことを確認する
  • 双方が離婚に合意しているかを一言確かめる
  • 離婚条件の保証人ではないことを確認する
  • 引き受けたくない場合は断ってよいことを確認する

頼む側から見た、第三者への依頼

頼まれた側にこれだけの気がかりがある以上、頼む側が言い出しにくいのは当然です。断られたときに理由を確かめる必要もありません。身近な人に頼まないという選択は、相手に断りにくい思いをさせずに済むという意味で、頼まれる側の負担を避ける選び方でもあります。

当事務所では、浜松市中央区上新屋町の事務所で、完全予約制の対面のみ対応しています。通常8,800円、急ぎ対応は17,600円で、1名分でも2名分でも同一料金です。届書の原本とご本人を確認してから、証人欄に署名します。来所日時はご予約のときに調整します。

対応は、協議離婚について当事者双方が合意していることが前提です。相手方が同意していない場合や、本人に無断で届書を完成させるための対応は行いません。離婚の経緯を詳しく伺うことも、この対応の目的ではなく、確認するのは可否を判断するために必要な範囲までです。

ゆき

証人を頼むこと自体、相手に負担をかけるんだと分かってきました。だとすると、頼まないほうがいいんでしょうか。

たすけ

引き受けてくださる方がいるなら、それで構いません。負担があるからといって、頼むことが悪いわけではありません。

頼みにくい、断られた、という場合に、身近な方以外に依頼する道があるという話です。

ゆき

事務所にお願いする場合、何を聞かれますか。

たすけ

届出の種類、必要な人数、届書の状態、来所できる日時です。協議離婚について双方が合意していることは前提として確認します。

来所前のチェック

  • 協議離婚として双方が合意していることを確認する
  • 証人欄の記入項目を証人に伝える
  • 押印は任意であることを確認する
  • 届書の原本とご本人確認書類を用意する

証人を引き受けるとどうなるかを確認する →

証人欄の代筆はできるのかを確認する →

よくある質問

協議離婚とは何ですか?

裁判所の手続を経ずに、当事者の話し合いによって離婚し、市区町村への届出によって効力が生じる離婚です。届書には成人2名の証人による署名が必要とされています。

なぜ証人が2名も必要なのですか?

協議離婚は届出によって効力が生じるため、その届出が当事者の意思によるものかを確かめる仕組みが必要です。法務省は手続の根拠として民法第764条(第739条を準用)と戸籍法第76条・第77条(第63条を準用)を挙げています。

証人になると、養育費や借金の支払い義務を負いますか?

負いません。証人は離婚条件の保証人ではなく、届書の証人欄にも取り決めを確認する欄はありません。公正証書などに連帯保証人として署名する場合は、まったく別の話です。

押印が任意になって、勝手に届出をされる心配はありませんか?

法務省は、届出の真正を担保する仕組みとして、不受理申出(戸籍法第27条の2第3項)、窓口での本人確認(同条第1項)、窓口に来なかった人への受理の通知(同条第2項)を挙げています。虚偽の届出には罰則も定められています。

証人を引き受けるデメリットは何ですか?

届書に自分の署名・生年月日・住所・本籍を記入することと、当事者間の事情に巻き込まれる可能性があることです。抵抗がある場合は断って差し支えありません。

相手が合意していない状態でも証人を依頼できますか?

いいえ。当事務所は協議離婚について当事者双方が合意していることを前提としており、無断で届書を完成させるための対応は行いません。

確認した公的情報

完全予約制・事務所で対面対応

協議離婚の証人について、LINEで相談する

届出の種類、必要な証人の人数、希望日時をお知らせください。

LINEで来所予約を相談する
LINEで来所予約する
LINEで来所予約を相談する