結論
養子縁組届の証人は、成年であれば親族でも第三者でも構いません。縁組の効果として扶養の義務が生じるのは養親と養子の間であって、証人がその義務を負う仕組みではありません。ただし、内容が虚偽だと分かっていながら加担した場合は、刑事罰の対象になり得ます。

証人になれるのは、成年の人
養子縁組届の証人は、成年2名です。成年年齢は2022年(令和4年)4月1日から18歳になりました。それ以前の感覚で「20歳から」と覚えている方がいらっしゃいますが、いまは18歳以上であれば年齢の要件は満たします。頼もうとしている相手の年齢で迷っている場合は、まずここを確かめてください。
年齢のほかに前提となるのは、届書に書く内容——署名、住所、生年月日、本籍——を、ご本人の意思で書ける状態であることです。署名はご本人が書くもので、家族が代わりに書くものではありません。本籍を正確に言えない方は意外に多いので、頼むときに一緒に確認しておくと当日が早く済みます。
ゆき
18歳になったばかりの弟に頼もうかと思っているのですが、若すぎて断られないか心配です。
たすけ
年齢の要件としては、18歳以上であれば成年です。ためらわれているのは要件よりも、「重い話を背負わせないか」という点ではないでしょうか。
証人欄への署名は、その届出に立ち会うという範囲のものです。縁組そのものに責任を負う形にはなりませんので、その説明を添えて頼むと伝わりやすいと思います。
ゆき
本人が来られないので、私が代わりに名前を書くのはだめですか。
たすけ
署名はご本人が書くものです。代わりに書いてよいかどうかを当事務所が「大丈夫です」と申し上げることはできません。届出の真正に関わる部分ですので、事情がある場合は、届書の提出先の市区町村にご確認ください。
親族でもよいのか、第三者でもよいのか
公的な案内で示されている条件は、成年の証人が2人という点です。親族に限る、第三者に限る、といった制限は示されていません。ご家族に頼んでも、友人に頼んでも、依頼を受けた行政書士でも、成年であれば証人欄に署名できます。血縁が近いほどよい、といった順位付けもありません。
実際には、養子縁組の証人は当事者の親族が務めることが多い一方で、身近な人に事情を話したくないという理由で第三者に頼む方もいます。どちらを選んでも、届書の条件としての違いはありません。ただし記載方法については提出先ごとの取扱いがあるため、迷う場合は窓口にご確認ください。
ゆき
養親側と養子側から一人ずつ出さなければならない、という決まりはありませんか。
たすけ
そうした決まりは示されていません。案内にあるのは、成年の証人が2人という点です。どちらの側から出すかは、当事者で決めていただいて構いません。
2人とも同じ側の親族でも、2人とも第三者でも、条件としては変わりません。
ゆき
証人の2人が知り合いどうしである必要もないんですね。
たすけ
その必要もありません。それぞれが別に署名する欄ですので、お互いに面識がなくても差し支えありません。当事務所で2名分をお受けする場合も、同じ届書に2名分の証人欄を整える形になります。
証人になると、何か責任を負うのか
「証人になったら、あとで扶養しなければならなくなるのでは」という不安をよく伺います。法務省の案内では、縁組が成立すると、養子の氏は養親の氏に変わり、養親と養子の間に扶養の義務が生じ、養親が親権を行使するとされています。扶養の義務が生じるのは養親と養子の間であって、証人はそこに含まれていません。
証人欄に署名したことで、養子の生活費を負担する立場になったり、養親に代わって何かを引き受ける立場になったりする、という定めは示されていません。他人の債務を引き受ける保証人とも、仕組みが違います。名前は似ていますが、別のものだとお考えください。
ゆき
正直に言うと、証人になるデメリットが知りたいです。あとから何か請求されたら困るので……。
たすけ
はっきり聞いていただけて助かります。まず、縁組の効果として扶養の義務が生じるのは、養親と養子の間です。証人が金銭的な義務を負う仕組みではありません。
ただし、一つだけ線があります。内容が虚偽だと分かっていながら届出に加担した場合は、刑事罰の対象になり得ます。そこは次の節で説明します。
ゆき
保証人とは違うんですね。名前が似ているので、同じようなものだと思っていました。
たすけ
別のものです。保証人は他人の債務を引き受ける立場ですが、届書の証人はその届出に立ち会う立場です。混同したまま断ってしまう方も、逆に軽く考えて引き受けてしまう方もいらっしゃるので、違いだけを取り出して整理したページも用意しています。
一つだけある線引き — 虚偽の届出
証人が責任を問われ得るのは、内容が虚偽だと分かっていながら届出に加担した場合です。法務省の案内では、虚偽の届出に対する罰則として、電磁的公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)と虚偽届出罪(戸籍法第134条)が挙げられています。押印の義務がなくなったあとも、この定めは変わらず置かれています。
これは証人だけに向けられた定めではなく、虚偽の届出そのものに向けられたものです。当事者が縁組の意思をもって届け出るのであれば、通常の証人がここに触れることはありません。裏を返せば、意思がないと分かっている届出に署名を求められたときは、引き受けない方がよい、ということでもあります。
名前は、どこに残るのか
証人欄に書いた氏名、住所、生年月日、本籍は、届書に記載されます。その届書は、提出先の市区町村で扱われます。ここまでが、当事務所として確かに申し上げられる範囲です。ここから先を推測で説明すると、頼む相手に誤った説明をしてしまうことになります。
この先——届書がどのように保存されるのか、戸籍にどこまでが反映されるのか——は、提出先の取扱いに関わる部分です。証人として名前が残る範囲が気になる場合は、推測で判断せず、届書の提出先の市区町村にご確認ください。頼む側にとっても、確かめてから頼む方が気持ちが楽になります。
ゆき
証人になると、その人の戸籍にも何か記録が付くんでしょうか。頼む相手に「迷惑がかかるかも」と思わせたくなくて。
たすけ
気になさる方の多いところです。確かなのは、証人欄に書いた内容が届書に記載され、その届書は提出先の市区町村で扱われる、というところまでです。それより先の取扱いを、当事務所が断定することはできません。
気になる場合は、届書の提出先の市区町村にご確認ください。曖昧なまま「大丈夫だと思う」と伝えて頼むより、確かめてから頼む方が、あとで気まずくなりません。
ゆき
確認するときは、証人本人が聞かないとだめですか。
たすけ
窓口によって答えられる範囲は違いますが、届出をする側から一般的な取扱いを尋ねること自体はできます。誰の届出かを説明する必要が出てくることもありますので、その点を含めて提出先にご確認ください。
頼める人がいないときの選び方
条件を満たす人が周りにいても、頼めるかどうかは別の話です。話したくない、心配をかけたくない、関係が変わるのが怖い。そうした理由で頼めないことは珍しくありませんし、その理由を誰かに説明する義務もありません。条件の話と、頼めるかどうかの話は、分けて考えて構いません。
当事務所は、ねこのて行政書士事務所(浜松市中央区上新屋町237-3)での完全予約制・対面のみで、届書の証人欄への署名に対応しています。料金は通常8,800円、急ぎ対応17,600円で、1名分でも2名分でも同一です。届書の作成や、必要な同意・許可があるかどうかの判断は行いません。それらは提出先の市区町村と家庭裁判所にご確認ください。
- 証人になる方が18歳以上であること
- 署名はご本人が書くこと
- 本籍を番地まで正確に確認すること
- 届書の原本と本人確認書類を用意すること
来所前のチェック
- 証人になる方の年齢を確認する
- 本籍・住所・生年月日を控えておく
- 届書の原本と本人確認書類を持参する
- 必要な証人の人数と希望日時を伝える
よくある質問
証人は何歳からなれますか?
成年であることが条件です。成年年齢は2022年(令和4年)4月1日から18歳になりましたので、18歳以上であれば年齢の要件は満たします。
親や兄弟に頼んでも構いませんか?
構いません。案内で示されている条件は、成年の証人が2人という点です。親族に限る、第三者に限るといった制限は示されていません。
証人になると、養子を扶養する義務を負いますか?
負う仕組みではありません。法務省の案内では、縁組が成立すると養親と養子の間に扶養の義務が生じるとされています。義務が生じるのは養親と養子の間で、証人はそこに含まれていません。
証人が責任を問われることはありますか?
内容が虚偽だと分かっていながら届出に加担した場合は、刑事罰の対象になり得ます。法務省の案内では、電磁的公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)と虚偽届出罪(戸籍法第134条)が挙げられています。
証人の名前は戸籍に残りますか?
証人欄に書いた内容は届書に記載され、その届書は提出先の市区町村で扱われます。その先の取扱いについては当事務所から断定できませんので、届書の提出先の市区町村にご確認ください。
証人を1名だけお願いすることはできますか?
できます。料金は1名分でも2名分でも同一です。ただし届書に必要な証人の人数そのものが変わるわけではありませんので、不足している人数をお知らせください。


